英ポンド/円相場は、4月12日の153.87円をピークに、足元では148~150円水準で揉み合う展開になっている。日本銀行の強力な金融緩和策を背景に急激なポンド高・円安トレンドを形成するも、20ヶ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を控えていることや、金相場の急落に象徴されるリスクマーケット全体の地合が不安定化していることを受けて、足元ではポンド高・円安傾向が一服している。
4月17日にはイングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC、4月3~4日開催)が公表されたが、資産購入枠を3,750億ポンドで据え置くことは、前回同様に6対3で決まったことが確認できる。キング総裁は3ヶ月連続で購入枠の拡大を主張したが、多くのメンバーがインフレリスクへの警戒感から、緩和措置の拡大に慎重な姿勢を示している。MPCは、3月のインフレ率が+2.8%だったのに対して、今年半ばには3%前後まで上昇するとの見方を示している。もっとも、同日に発表された昨年12月~今年2月の英失業者数は前期から7万人増の256万人に達しており、MPCが追加緩和に踏み切るリスクを完全に払拭するのが難しい状況が続く見通し。7月には総裁の交代を控えており、7月にも追加緩和が行われるとの懸念がくすぶり続けることが、ポンド相場の上昇余地を限定しよう。
もっとも、議論されているのは250億ポンド(約3.7兆円)の資産購入を行うか否かというレベルであり、今後2年で資産購入量を158兆円
から290兆円まで拡大することを計画している日銀との違いは顕著である。日英の金融政策環境の違いを考慮すれば、ポンド高・円安トレンドそのものを否定するのは難しい。G20財務相・中央銀行総裁会議では、為替はメインの議題にならない見通しであり、ポンドの押し目では依然として物色妙味があると考えている。
今後1週間の予想レンジは、146.00~152.50円。